最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)766 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士富岡秀夫の上告理由は別紙のとおりである。
上告理由第一点の一について。
論旨は「〇八」又は「「八(原文は丸の中に八)」」と記載された投票を無効で
あると主張する。記号をもつて記載された投票をみだりに有効と解することができ
ないことは所論のとおりであるが、本件の場合、所論の投票の「○」は円に通じエ
ンと読めないことはなく、かつ、原判決の認定するところによれば、候補者成田延
八は本件選挙に際して「〇八」、「○」を自己の通称として選挙管理委員会に届出
ているのであるから、原判決がこれらの投票を同人に対する有効投票と判断したの
は相当である。論旨は理由がない。
同二について。
論旨は「ナ太○八」と記載された投票を無効であると主張する。「ナ太」のみで
直ちに成田の誤記とは認め難いけれども、前述のように「○八」が延八と読める以
上、名と合せてこの一票は候補者成田延八に対する有効投票と解するのが相当であ
る。論旨は理由がない。
同三、四について。
論旨「成八」、「エンパ」と記載された投票を無効であると主張する。これらの
二票は候補者成田延八に対する投票としては脱字があるけれども、他に類似の氏名、
文字の候補者がない以上同人に対する有効投票と判断した原判示は正当と認められ
る。論旨は理由がない。
同五、六について。
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論旨は候補者氏名を二重に記載し、振り仮名を付し、あるいは氏または名を重複
して記載した投票を無効であると主張するのであるが、いずれの投票も、候補者氏
名のほか他事を記載したものとは認め難く、したがつてこれを無効とすべき理由は
ない。論旨は理由がない。
同七について。
論旨は渡部重一と記載して抹消し成田○八と記載した投票について、その抹消は
徹底しておらず、二人の候補者の氏名を混記したものである旨を主張するのである
が、抹消が不十分であつても、抹消したものと認められる以上、候補者二名の氏名
の混記と解することはできないから、論旨は理由がない。
以上説明のように本件上告は理由がないから、これを棄却することとし、民訴四
〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 谷 村 唯 一 郎
裁判官 池 田 克
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